協会ニュース 『陶説』平成17年2月号より

▼備前焼の作家・森陶岳氏の大窯(全長53メートル)の火入れ式が1月5日(水)午後1時より、神主を招いて厳かに行われた。この神事には、陶岳氏とその弟子たち、および日本陶磁協会主任研究員の森孝一が参加した。この大窯は1983年に完成したトンネル状の穴窯で、じつに六年ぶり、5回目の窯焚きである。窯の中には、陶岳氏の大甕や茶陶作品のほか、弟子10人の作品も加えられ、約1500点が窯詰めされている。これから約1ヶ月半ほどいぶし焚きして徐々に温度を上げてゆき、そして本焚きした後、窯を冷まし、4月下旬に窯出しが行われるという。火入れ式の取材に集ったNHK、山陽新聞など記者の質問に対して、陶岳氏は「今回は陶工たちの共同窯だった備前時代の窯焚きに近づけるため、初めて弟子たちとの共同作業にした。それぞれが能力を高め、新大窯への大きなステップにしたい」と、その決意のほどを語った。全長80メートルの新大窯も、完成を目指して着々と造築が進められている。

▼京都市内から出土した桃山時代の陶磁器を地区ごとに訳330点展示した「桃山文化の陶磁器~つちの中から~」が3月31日まで京都市考古資料館で開催されている。資料館は、京都市上京区今出川通大宮東入ル 電話075-432-3245

▼京都市立芸術大学美術科の学生の1年間の成果を広く発表することを目的とした展覧会「京都市立芸術大学作品展」が2月16日(水)から20日(日)まで、京都市美術館(第1会場)・京都市美術館別館(第2会場)、京都市立芸術大学構内(第3会場)で開催される。入場は無料。なお、京都市立芸術大学は京都市西京区大枝沓掛町1319。詳しくは京都市美術館、京都市立芸術大学をご覧下さい。

▼第13回「テーブルウェア・フェスティバル 暮らしを彩る器展2005」が2月7日(月)から14日(月)まで東京ドームで開催される。洋の器への誘いとしては「洋の器―彩りのテーブル」「新和洋モダニズム―ノリタケ」「至高のもてなし―大倉陶園」「クリスタルのある生活―HOYA」。日本の器を訪ねてとしては、「国内特集〔九谷焼〕進化系―ジャパン・クタニ―」「全国陶磁器産地の銘品紹介―四季のもてなし」「漆のある暮らし」「美濃・伝統の技〔どんぶり百撰〕」「京の粋と技―京焼・清水焼」「卓越の技―瀬戸織部」「新しい食卓の装い―多治見」「和・洋・中 麺の競演―有田」など。詳しいお問い合わせはテーブルウェア・フェスティバル実行委員会事務局 電話03-3817-6239まで。

▼昭和60年(1985)に沖縄県初の重要無形文化財(琉球陶器)保持者となった陶芸家・金城次郎氏(92歳)が、12月24日午後10時45分、心筋梗塞のため沖縄県北中城村の病院で死去された。葬儀は二八日午後二時から同県浦添市勢理客三―二、フェニックスホール玉泉院で行われた。喪主は長男・敏男氏。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

▼平成7年(1995)に重要無形文化財(三彩)保持者となった陶芸家・加藤卓男氏(87歳)が、1月11日午前11時45分、肺炎のため岐阜県多治見市の病院で死去された。葬儀は14日午後2時から同市光ヶ丘5-100-1、セレモ双葉玄武ホールで行われた。葬儀委員長は梶原拓岐阜県知事。喪主は長男幸兵衛氏。
平成3年(1991)日本陶磁協会賞金賞受賞。美濃陶芸協会初代会長。日本陶磁協会岐阜県支部顧問などを務められた。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

▼1月19日午後1時30分より「平成16年度日本陶磁協会賞」の選考委員会が、和光七階会議室で開かれました。出席者は梅澤信子、金子賢治、唐澤昌宏、黒田和哉、中ノ堂一信、西田宏子、宮島格三、森孝一、弓場紀知、吉田耕三の10名。長谷部満彦、吉岡庸治のお二人は欠席でした。選考の結果、金賞は該当者なし。よって、協会賞には、林邦佳、清水六兵衛、田嶋悦子の三名が選ばれました。
詳しくは、次号でご報告いたしますが、左記に受賞者の陶歴を記しておきます。

■日本陶磁協会賞 林邦佳
1949年 千葉県に生まれる/1967年 西村昭二郎(日本画)に師事/1968年 日本大学芸術学部彫塑科に入学/1969年 インド、東南アジア、韓国、中国、アメリカ、メキシコ、台湾等遊学/1973年 工業技術院名古屋工業試験所勤務/1974年 瀬戸にて独立、開窯/1982年 MOAメキシコ陶芸学校設立に協力/2004年 瀬戸市文化センターにて個展

■日本陶磁協会賞 八代清水六兵衛
1954年 京都市に七代六兵衛の子として生まれる/1979年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1980年 京都府立陶工職業訓練校で轆轤を学ぶ/1981年 京都市工業試験場で釉薬を学ぶ/1983年 朝日陶芸展グランプリ受賞/1986年 中日国際陶芸展外務大臣賞受賞/1988年 八木一夫賞現代陶芸展優秀賞受賞/1989年 八木一夫賞現代陶芸展読売賞受賞/1990年 京都精華大学非常勤講師/1992年 次代を担う作家展大賞受賞/1993年 京都府文化賞奨励賞受賞/1997年 シドニー・マイヤー基金・国際陶芸賞展ポインツパス・パイオニア陶芸賞受賞/1999年 タカシマヤ美術賞受賞/2000年 八代襲名。京都造形芸術大学非常勤講師

■日本陶磁協会賞 田嶋悦子
1959年 大阪府に生まれる/1981年 大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸専攻卒業/1992年 咲くやこの花賞・美術部門 大阪市より受賞/1996年 大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸専攻専任講師/2002年 「現代陶芸の100年展」(茨城県陶芸美術館)出品/2003年 「現代陶芸の華」(茨城県陶芸美術館)出品/2004年 「田嶋悦子有隣荘展」(大原美術館)開催/2005年 タカシマヤ美術賞受賞

カテゴリー

公益社団法人 日本陶磁協会

検索