協会ニュース 『陶説』平成14年3月号より

▼1月18日午後4時より和光本店(中央区銀座)の5階会議室にて、2001年度目本陶磁協会賞並びに金賞の選考委員会が行われました。選考委員、長谷部満彦・金子賢治・唐澤昌宏・中ノ堂一信・吉田耕三・吉岡庸治・宮島格三・黒田和哉・森孝一の9名により、厳選なる選考を重ねた結果、次の2氏の受賞が決定いたしました。

 2001年度日本陶磁協会賞 鈴木五郎氏
 2001年度日本陶磁協会賞金賞 森陶岳氏

 授賞式および受賞記念展等の行事につきましては、日時が決定次第追って掲載いたします。
 なお、来年度より梅澤信子常任理事・西田宏子常任理事・弓場紀知常任理事の3名が新しく選考委員として加わります。

▼日本陶磁協会賞 鈴木五郎氏
身の丈を超す織部の30段の重箱や、一人では持てそうもない焼き締めや織部の土瓶など、従来の用の概念では捉えることの出来ない自由奔走な造形で知られる陶芸家・鈴木五郎氏の仕事は、その実、桃山以来の伝統の技術をしっかり踏襲した作品でもあります。とくに、自由な精神によるダイナミックな造形力と、胎土にこだわり、釉とその焼成に深く留意した確かな技術が融合する織部作品は、桃山の織部とはまた違った現代の織部として、高く評価されています。その確かな技術と大胆な造形、不易と流行を兼備する稀な作家としてのこれまでの創作活動に対し、2001年度日本陶磁協会賞を授与することに決定しました。「60歳からが自分の本当の仕事」と宣言する鈴木氏61歳のこれからの作品に大いに期待するものであります。

▼金賞 森陶岳氏
備前の陶芸家・森陶岳氏は、その力強い造形作品によって1968年度日本陶磁協会賞を32歳の若さで受賞されました。その後、古備前の大窯期に作られたエネルギッシュな作品に感動し、大窯に取り組むことを決意、76年には兵庫県相生市の山中に築窯した8メートルの登り窯(大窯の雛型)に初めて火を入れます。80年には46メートル、85年には岡山県牛窓町寒風に築窯した53メートルの大窯で焼成。以後、89年、94年、99年と、4、5年おきに大窯に挑戦してこられました。そして、2008年には90メートルの大窯に挑戦すべくいま準備を進められています。この大窯による焼成は、これまでの古備前の再現を超えた新たな挑戦といえます。この壮大な計画に挑戦し、長年取り組んでこられた森氏の陶芸家としての一途な姿勢と功績、その作品に対して2001年度日本陶磁協会賞金賞を授与することに決定しました。2008年の90メートルの大窯焼成の夢に、大いに期待するものであります。

▼昨年11月29日に亡くなった陶芸家・山田光氏に、この度「第20回府文化賞」特別功労賞が贈られた。この賞は、京都府が京都の文化振興に貢献している人に贈るもので、1月30日、京都市上京区の府公館で授賞式が行われた。
 故・山田氏は、前衛陶芸集団「走泥社」の結成メンバー。黒陶や銀泥のオブジェなど純粋造形を追求、陶芸の可能性を広げた理由による。
 なお、受賞者は山田氏を含む14名。藤永太一郎、柳田聖山、下保昭、小林正和、早川尚右斎、井上隆雄、西川千麗、片岡義道、中島貞夫、今江祥智、井上正、西野陽一、信ケ原良和の各氏。

▼松江支部主催の「桃山の茶陶鑑賞会」が3月17日(日)午前10時から午後4時30分まで松江の厚生年金ハートピアで催される。講師は、日本陶磁協会常任理事・黒田和哉氏。本部より持参の名品および地元の名陶を列品解説し、スライドを併用して桃山の茶陶について語る。茶席では呈茶もあって、前売会員券1500円、当日会費2000円。厚生年金ハートピア松江は松江市春日町532-2 電話0852-25-3224。お問い合せおよび、お申し込みは松江支部事務所 電話0852-24-7437 FAX0852-31-9865まで。

▼陶芸のほかにも書、水墨画、水彩画、板絵、ガラス絵と多才な表現を試みる藤平伸氏の2つの個展が銀座で開催される。一つは、銀座・和光ホールで催される「藤平伸展」3月2日から9日まで。がらす絵・水墨絵・水滴の愉しい作品が並ぶ。もう一つは、銀座・黒田陶苑で催される「藤平伸小品書画展覧会」3月1日から8日まで。こちらは初公開となる水墨漆器。春慶塗の盆に墨で絵を描いたもの。
 和光ホールは電話03-3562-2111(代)。黒田陶苑は03-3571-3223。

▼備前の陶芸家・金重有邦氏の茶陶を中心とした展覧会が3月8日(金)から13日(水)まで渋谷・黒田陶苑で開催される。最近、凝っている伊部山茶碗をはじめ、茶入、花生、酒器など金重有邦氏の力作が並ぶ。渋谷黒田陶苑は渋谷区渋谷1-16-14メトロプラザ1階 電話03-3499-3225。

▼MIHO MUSEUMの常設展(北館)では、前期の3月15日から31日までと、後期の5月25日から6月9日まで「耀変天目茶碗」(前田家伝来)が展示される。耀変天目といえば、静嘉堂文庫美術館・藤田美術館・大徳寺龍光院の3碗が著名だが、この天目は大名物で、「大正名器鑑」にも所載。
 なお、前期は絵因果経、伎楽面といった仏教美術の作品を中心に、東大寺など奈良にゆかりのあるものを展示。茶の湯のコーナーでは「耀変天目茶碗」をはじめ、東大寺二月堂修二会に使われた「日の丸盆」や「香水杓」などの仏教工芸を取り合わせて展示。また別室では道真公にちなんで硯や文台などの漆工品を中心に展示の予定。
 後期は蒔絵と根来の作品を展示。茶の湯のコーナーでは乾山のやきものを中心に取り合わせて展示される。MIHO MUSEUMは滋賀県甲賀郡信楽町桃谷300 電話0748-82-3411

▼平成14年度の行事予定を3月中に文部科学省に提出し、次年度の予算をたてる都合もありますので、各支部は、支部大会(講師を呼ぶ予定のある場合)などの行事予定を至急に本部事務局までお知らせ下さい。

▼協会の機関誌「陶説」は毎月1日が発行日です。催し物の案内もありますので、支部会員の皆様にも、なるべく早くお届けしたいと、本部では考えております。本部直送を希望される支部がございましたら、本部事務局・渡辺までご連絡下さい。

▼この度、14代今泉今右衛門を次男雅登氏が襲名。長男善雄氏は今右衛門陶舗・今右衛門東京店の代表取締役に就任した。

▼当協会理事長・根津嘉一郎氏(88歳)が2月15日午後、老衰のため死去されました。通夜は20日午後6時から、葬儀は21日午後1時から港区芝公園4-7-35 増上寺大殿で。喪主は長男公一氏。心よりお悔やみ申し上げます。

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