協会ニュース 『陶説』平成14年7月号より

▼第12回茶道文化学術賞の投賞式が6月21日(金曜日)午後6時より、東京都千代田区神田錦町の学士会館本館講堂で行われた。平成13年度の茶道文化学術奨励賞は生形貴重氏「利休の逸話と徒然草」と、谷村玲子氏「井伊直弼修養としての茶の湯」の2作品に決定した。
なお、茶道文化学術助成金は吉村亨(京都学園大学人間文化学部教授)「日本茶俗の比較社会史研究」、宮本圭造氏(立命館大学・アートリサーチセンター特別研究員)を研究代表とする「真敬法親王をめぐる茶の湯おょび諸芸能に関する総合的文化研究」。大森正司氏(大妻女子大学教授)を研究代表とする「茶壺に保存した碾茶の風味に関する食文化的研究」の3件に交付された。授賞式に引き続き、授賞者谷村玲子氏、生形貴重氏の記念講演も行われた。

▼生誕百年を記念する「ルーシー・リー展 静寂の美へ」が7月7日から9月16日までミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館 松山市堀江町1165-1 電話089-978-6838)で開催される。

▼美濃焼を代表する陶芸家・加藤孝造氏の作陶展が、6月11日(火)から17日(日)まで日本橋三越本店6階美術特選画廊で催された。今回は、加藤氏が力を入れる瀬戸黒を中心に、志野、黄瀬戸、焼締の茶陶が並べられたが、それぞれに赤丸が付き、孝造志野の人気の高さが感じられた。なお、6月15日午後1時からはギャラリートーク「瀬戸黒の魅力と美濃陶芸の今」が行われ、孝造志野を愛する愛陶家たちが集った。トークの中で、瀬戸黒は大量生産といってもひと窯でせいぜい4、5点が限度。1点1点焼く楽茶碗に比べれば、数が多いということで、思った黒を出すのに苦労はあるが、挑戦する人が少ないので、敢えて自分が挑戦すると意欲のほどを語られた。様々な役職を後輩に譲り、これからは作品作りに専念されるとのこと。今後が愉しみである。

▼陶芸家・西川實の作品集『西川實の陶芸抒情と炎』(定価38,000円+税)が求龍堂より出版された。今回の作品集刊行の動機を、「一つの区切りとしてその姿を整理してみたいものと作品集を出版」と、西川氏は語る。

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