やきもの界ニュース 『陶説』2026年5月号より

重要文化財指定、陶磁器関連

国の文化審議会は3月26日、文化財分科会の審議を経て、新たな重要文化財指定について文部科学大臣に答申しました。
陶磁器関連では、元禄六年銘をもつ伊万里の変形皿(柿右衛門と鍋島の様式が交錯する過渡期の優品。サントリー美術館蔵)、飛驒市の縄文時代石棒製作関連出土品一括(縄文中期から晩期。素材産地と工程を示す重要資料)、越前焼の大釜屋・西山窯跡群出土品一括(中世越前焼の生産遺物一括。規格品量産と操業実態を示す基準資料)が選ばれました。告示後、重要文化財は10997件となる見込みです。

伊賀焼旧事務所など登録へ

国の文化審議会は3月26日、伊賀市丸柱の旧伊賀焼陶磁器工業協同組合事務所を登録有形文化財とするよう答申しました。
同事務所は1939年建築の木造平屋で、下見板張りの外壁や三角屋根の玄関ポーチに当時の意匠をよく残しています。組合は粘土山管理や販路開拓など産地運営の中核を担い、建物はその拠点でした。現在は窯元長谷園の施設として改修され、カフェとして活用されています。

呉須製造、1社体制へ集約

有田焼などに用いられる藍色顔料「呉須」の製造が、深海商店による一社体制に集約されました。
同業の岸川絵具店から事業を承継し、製造と販売を開始したものです。両社は長年、肥前窯業圏の窯元を支えてきました。承継により約三百種の呉須と多数の釉薬の供給が維持される見通しで、産地の基盤技術を継承する重要な転機と位置付けられています。

砥部焼輸出磁器を新確認

愛媛県砥部町で、明治後期から昭和初期にかけての輸出用とみられる砥部焼磁器が確認されました。
器には窯元「愛山」と問屋「HASHIDA」、さらに「JAPAN」の表記があり、海外市場を意識した製品であることがうかがえます。砥部焼は当時、窯元と問屋が連携し販路を海外へ拡大し、産業として発展しました。本資料はその実態を具体的に示す例として注目され、砥部焼の流通構造や国際展開を考えるうえで重要な手がかりとなるものです。砥部むかしのくらし館で開催中の「日本有数の窯業遺産 砥部焼は日本の宝展」(2027年1月末まで)で初展示しています。

第60回西部伝統工芸展

陶芸関係の受賞作品は以下のとおりです。本展は福岡・熊本・沖縄に巡回します。
〈自由作品の部〉
60回記念賞 《白磁鉢》五嶋竜也
福岡市長賞 《化粧土掛分壺》有島聡浩
KKB鹿児島放送賞 《彩色象嵌花器》中尾恭純
OAB大分朝日放送賞 《白磁象嵌花器》江上晋

〈用と美の部〉
60回記念賞 《白磁蓮葉皿》五嶋竜也
岩田屋三越賞 《黒彩磁掛分皿》鹿谷敏文
(敬称略)

巡回先
福岡:岩田屋本展 5月27日(水)~6月1日(月)
熊本:鶴屋百貨店 6月4日(木)~9日(火)
沖縄:おきなわ工芸の杜 6月30日(火)~7月5日(日)

第69回日本伝統工芸中国展

陶芸関係の受賞作品は以下のとおりです。本展は天満屋岡山店にて5月27日(水)~6月1日(月)に開催されます。
日本工芸会賞 《備前広口花器》近藤正彦
岡山県知事賞 《備前細口壺》竹中健次
鳥取県知事賞 《三角切れ花器》藤森寬
山陽新聞社賞 《炭化彫紋文のある陶》今田拓志
中国新聞社賞 《和紙・布染紫陽花文陶筥》西山光則
テレビせとうち賞 《自然練込花器》豊福博
(敬称略)

第57回東海伝統工芸展

陶芸関係の受賞作品は以下のとおりです。
日本工芸会賞 《藍色志野壺》酒井博司
中日賞 《黄瀬戸条紋大鉢「Ripples」》加藤作助
NHK名古屋放送局長賞 《鉄絵銅彩鉢「山法師」》佐藤文子
東海伝統奨励賞 《飛鉋象嵌白磁大皿「青碧」》酒井紫羊
(敬称略)

第66回石川の伝統工芸展

本展は5月20日(水)~25日(月)に金沢エムザにて開催されます。
会期中、左記のとおり列品解説が行われます。受賞作品については次回以降に掲載いたします。
列品解説(陶芸のみ掲載)
 5月21日13時30分~(解説:多田幸史氏)
 5月22日11時30分~(解説:宮本雅夫氏)

福岡ミュージアムウィーク2026記念講演会

「高麗茶碗入門―茶の湯がつないだ日韓交流」
5月18日の「国際博物館の日」に合わせ、5月16日(土)~5月24日(日)に福岡市内のミュージアム、文化施設が参加する「福岡ミュージアムウィーク」が開催されます。期間中、各施設で料金割引、プレゼント、特別な催しなどが行われます。

◆関連展示「コレクション展 春の名品展」
会期:~5月31日(日)
会場:福岡市美術館 松永記念館室
展示:《粉吹茶碗 銘十石》、《青井戸茶碗 銘瀬尾》、《柿蔕茶碗 銘白雨》、《蕎麦茶碗 銘夕月》、《雨漏堅手茶碗 銘天野屋》、《粉吹徳利》(朝鮮王朝時代)、《古唐津茶碗 銘老鶴》ほか、春に相応しい茶道具の名品が出品されます。

第20 回パラミタ陶芸大賞展

本展では、全国の美術館、博物館、画廊、美術評論家から「時代を代表する陶芸家」に推薦された上位6名の作家の作品を展示されます。さらに来館者の投票によって、最多数の作家が大賞に決定されます。また20回をむかえる本年は、「陶芸大賞展20年のあゆみ」展が同時開催され、これまでの出品作家119名の作品をパネルで紹介し、大賞受賞者の作品が一堂に公開されます。

第20回展出品作家
阿曽藍人(岐阜)・打田翠(岐阜)・中井波花(茨城)・林麻依子(埼玉)・安永正臣(三重)・若林和恵(神奈川)
会場:パラミタミュージアム 三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21─6 ℡059─391─1088
会期:6月4日(木)~7月26日(日)*会期中無休
投票期間:6月4日(木)~7月9日(木)
大賞発表式:7月19日(日)
同時開催 「陶芸大賞展20年のあゆみ」
 *6月28日(日)14時から記念講演会「パラミタ陶芸大賞展20年の歩みにみる現代陶芸の魅力」(講師:外舘和子氏〈多摩美術大学教授〉)を開催、無料。

出光美術館・展示室の案内

東京の出光美術館は現在、ビルの建替に伴い長期休館をしています。その間、中近東文化センター附属博物館内に「出光美術館・展示室」を設け、年4回の展示を通して陶磁コレクションの紹介展示を行っています。
住所:東京都三鷹市大沢3─10─31(中近東文化センター附属博物館)
開館日:月、火、水、金曜日(祝日、振替休日、展示替期間、年末年始は休館)
開館時間:10時~16時(入館は15時まで)
電話:050─5541─8600(ハローダイヤル)
入館料:一般1000円、高大生・65歳以上500円、中学生以下無料 *中近東文化センター附属博物館の入館料を含む
2026年度展示スケジュール
 「桃山陶芸の魅力」~6月26日(金)
 「うつわに描かれた生き物たち」6月30日(火)~9月4日(金)
 「酒器のうつわ、宴の景色」9月8日(火)~12月18日(金)
 「板谷波山の陶芸」2027年1月12日(火)~3月26日(金)

東京美術倶楽部で「工+藝」KO+GEI 2026

東京美術倶楽部(東京・港区)では、5月21日(木)から24日(日)まで、「工+藝」KO+GEI 2026が開催されます。
東京美術倶楽部が2024年に始動した現代工芸の展覧会で、今回は招待作家7名、推薦作家50名、計57名の作品を紹介します。日本の伝統を受け継ぐ「工」の技術と、作家それぞれの独創的な意識から生まれる「藝」との融合を掲げる企画です。
推薦作家を対象に、東京美術倶楽部会員である全国の美術商による投票で大賞1名、優秀賞2名を選出するほか、秋元雄史賞、菊池寛実記念 智美術館賞、NIGO®賞、山下裕二賞の各特別賞も設けています。受賞作品は5月25日(月)から31日(日)まで、東京美術倶楽部1階で展示予定。
会期中にはギャラリートーク、出品作家の器による呈茶席も予定されています。
会期:5月21日(木)~24日(日)10時~17時
会場:東京美術倶楽部3階ホール(東京都港区新橋6─19─15)※入場無料
出品作家
【招待作家】隠﨑隆一、関島寿子、土屋順紀、前田正博、三上亮、十三代三輪休雪、山村慎哉
【推薦作家】(陶芸関係)伊藤秀人、内田鋼一、王雪陽、加藤高宏、加藤亮太郎、川端健太郎、岸野寛、木野智史、五味謙二、崎山隆之、澤谷由子、スナ・フジタ、高橋奈己、出和絵理、戸田浩二、新里明士、野口寛斉、服部真紀子、福村龍太、増田敏也、桝本佳子、松永圭太、見附正康、三輪太郎、牟田陽日、和田的(敬称略)

ギャラリートーク(要事前申込)
 21日13時~:秋元雄史氏(GO FOR KOGEI アーティスティック・ディレクター)
 23日13時~:橋本麻里氏(学芸プロデューサー)
 24日11時~:島崎慶子氏(菊池寛実記念 智美術館 学芸課長)
 24日13時~:山下裕二氏(明治学院大学教授)

呈茶席 5月23日、料金1500円(先着150名) 
受賞作品展示 5月25日(月)~31日(日) 東京美術倶楽部1階
*22日の「KOGEI GENEシンポジウム」は申込み終了しました。

古美術愛好会「李朝の白磁」

第9回勉強会・交流会が開催されます。
日時:5月31日(日)13時受付、13時30分開始 ※事前予約制
場所:東京都江東区東大島文化センター2階 第一和室
テーマ:「李朝の白磁」
講師:田代裕一朗氏(東京文化財研究所研究員)
*講義テーマに関わらず持参品持ち込みも自由。持参品紹介コーナーでのご自身による紹介が可能。
料金 一般3000円
   学生1500円

問合先:Instagramの@kobijutsu_aikoukaiへDMを送ってください

24 Two to the Power of Four-Curated by Rupert Faulkner

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 名誉上席研究員であるルパート・フォークナー氏のキュレーションによる展覧会「24 Two to the Power of Four 日本の現代陶芸と出会って50年 ロンドンの視点から 」が、東京・日本橋の中長小西において開催されます。日本の作家・研究者らとの交流を深め、長年、日本工芸の研究・収集を続けてこられたフォークナー氏の、今現在の眼で企画された展覧会です。
会期:5月15日(金)~6月2日(火) 11時~18時30分 日曜休み
会場:中長小西(東京都中央区日本橋3─8─13 華蓮日本橋ビル6階) ℡03─6281─9516
出品作家 吉田喜彦・星野暁・小川待子・深見陶治・樂直入・隠﨑隆⼀・中島晴美・秋山陽・矢次美穂・竹内紘三・五味謙⼆・桝本佳子・服部真紀子・川浦紗季・波多野亜耶・アイザワリエ
(敬称略・生年順)

カテゴリー

公益社団法人 日本陶磁協会

検索