やきもの界ニュース 『陶説』2022年5月号より

伝統技術の継承と若手育成を担う「工芸の杜」オープン

沖縄県が、伝統工芸の技術の継承を目標に整備を進めてきた「おきなわ工芸の杜」(沖縄県豊見城市)が4月にオープンしました。
県内の工芸作家による伝統工芸品を展示するスペースや、作り手のための貸し工房などが整っています。貸し工房では最長で3年間入居が可能。また、ガラス張りの共同工房では、織りや染めの工程を自由に見学できます。学んだ後は体験工房で、琉球ガラスや染物、織物づくりを実際に体験することもできます。
ところ: 沖縄県豊見城市豊見城1114―1 ☎098―987―467
見学時間:9時~18時

九州陶磁文化館 常設展示室が改装オープン

佐賀県立九州陶磁文化館(有田町)の常設展示室がリニューアルオープンしました。日本初の磁器である有田焼について、実物と映像などを組み合わせてわかりやすく紹介しています。
新しくなったのはメインの展示室「有田焼の歴史」で、約400平方メートル。歴史や文化などのテーマごとに部屋を巡りながら、有田焼の誕生から現在にいたるまでの歴史の流れを知ることができます。欧州の宮殿を模した古伊万里の部屋や、柿右衛門や鍋島様式の絵柄が映像で絵付けされる皿形のスクリーンなど、見て楽しめる工夫が随所にほどこされています。

有田国際陶磁展審査結果発表

第118回有田国際陶磁展の審査が行われ、美術工芸品・オブジェ部門80点、産業陶磁器部門48点の応募から、入賞作品が決定しました。
工芸品・オブジェ部門
最高賞(文部科学大臣賞):「白釉稜線浅鉢(はくゆうりょうせんあさばち)」岡田優(京都府)
産業陶磁器部門
最高賞(経済産業大臣賞):「氷青磁組鉢(ひょうせいじくみばち)」青木昌勝(伊万里市)

美術工芸品・オブジェ部門は佐賀県立九州陶磁文化館、産業陶磁器部門は佐賀県陶磁器工業協同組合にて5月8日(日)まで展示されます。

「志田の蔵」が佐賀県遺産に

今年2月に佐賀県遺産に認定された「志田の蔵」の認定証授与式が、志田陶磁器株式会社(嬉野市志田町)で4月12日に行われました。
「志田の蔵」は、大正時代に同社が取り扱う志田焼の大型火鉢などを保管する倉庫として建造されたもの。頑丈な松材の梁に支えられた建物は、当時の志田焼の繁栄ぶりを伝えています。
同社の元工場である「志田焼の里博物館」(2005年に県遺産認定)とともに、志田焼を後世に伝える施設として活用される予定です。

第56回西部伝統工芸展

展観は福岡三越(6月1日〈水〉~6日〈月〉)、鶴屋百貨店(熊本)(6月9日〈木〉~13日〈月〉)に巡回します。なお選考結果については次号以降に掲載いたします。

第45回山口伝統工芸展

優れた伝統工芸作品を紹介する第45回山口伝統工芸展が4月に山口県立萩美術館・浦上記念館で開催され、陶芸・硯・漆芸・金工・木竹工の5部門に、日本伝統工芸会山口支部の会員37人が計91点を出品しました。

陶芸関係の受賞者は次のとおりです。
朝日新聞社賞  「流白釉輪花鉢(りゅうはくゆうりんかばち)」田原崇雄
NHK山口放送局賞 「白磁花器 旅立ち」松尾藻風
yab山口朝日放送賞 「淡青釉鉢」岡田泰
そごう広島店賞 「染錦紫陽花文陶筥(そめにしきあじさいもんとうばこ)」松尾優子
朝日新聞社奨励賞「水指」坂倉正紘

菊正宗 盃展示館がオープン

菊正宗酒造株式会社は、神戸市東灘区にある菊正宗記念館内に「菊正宗 盃展示館」をオープンしました。同施設は「日本酒と酒器の世界へ誘う」をテーマとし、全国各地から収集した近世以降の酒器にまつわるコレクション約400点を展示すると同時に、酒造りの歴史・発展に沿って酒器の変遷を紹介しています。
また、酒器による日本酒の味わいの違いを体験できる有料セミナーなども開催されます。
ところ:兵庫県神戸市東灘区魚崎西町1―9―1  ☎078―277―3493
見学時間:11時10分/14時40分/15時40分
料金:無料

第51回日本伝統工芸近畿展

先月号でお伝えした本展の受賞作品のうち、陶芸作品は以下のとおりです。
日本伝統工芸近畿賞  「灰釉彩鉢」市野秀作(兵庫県)
奈良県知事賞 「線描幾何文花入」森田由利子(奈良県)
滋賀県知事賞 「炭化彩色壺」小牧鉄平(滋賀県)
新人奨励賞 「銀刻彩組皿」山内駿(京都府)

瀬戸の陶芸公募展「藤四郎トリエンナーレ」

「第4回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ」の展覧会が、5月29日まで瀬戸市美術館で開催されています。同展は、瀬戸市内の陶土採掘場で「自ら土を採集し」「自ら採集した土で粘土をつくり」「自らその粘土で制作する」という、同じ素材で競う公募展です。
第4回となる今回は、全国から250人が応募。昨年8月に採土し、132人が出品しました。展覧会では、入賞5点と入選68点を展示しています。入賞者は次のとおりです。

グランプリ 「ダーマトグラフの針の先」赤平史香(愛知県)
審査員特別賞「環」波多野祐希(愛知県)、「Geo(ジオ)」中根楽(滋賀県)、「Awakening Wind Chillout」アサ佳(岐阜県)、「水平リーベぼくの船」工藤玲那(宮城県)

第62回石川の伝統工芸展

展観は6月1日(水)~6日(月)に金沢エムザ・8階催事場にて開催されます。会期中、列品解説があります。陶芸関係では、4日(土)午前 11時30分から中田一於氏、5日(日)午後2時から受賞者により解説されます。なお選考結果については次号以降に掲載いたします。

第61回日本伝統工芸富山展

展観は5月27日(金)~6月12日(日)に高岡市美術館にて開催されます。なお選考結果については次号以降に掲載いたします。

東京国立博物館 文化財修理プロジェクト

東京国立博物館創立150年を記念して、同館を代表する「埴輪 踊る人々」と「見返り美人図」の修理プロジェクトが始まりました。先人から受け継いだ文化財を守り、次代に伝えるための修復費用として、広く寄付を募っています。
昭和5年(1930)に、山林開墾中に偶然発見された「埴輪 踊る人々」は、昭和初期の修理のため石膏が非常に脆くなり、胴や腕の部分に横向きの亀裂が複数みられます。今回の修理では、解体、旧修理による石膏部分の除去、亀裂の強化・接合などが行なわれる予定です。
絵具の部分に多くの剥離、剥落がみられる「見返り美人図」は剥落止めを行ない、これ以上傷みが進まないよう保護します。
目標金額は1千万円。返礼品として、踊る埴輪や見返り美人がデザインされた手拭いや風呂敷、江戸硝子のオリジナルグラスなどが用意されています。
詳しくはこちらから。

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